広報誌 南東北

第250号

腰痛

はっきりしない原因85% コツコツ鍛錬で改善効果も

腰痛は日本人の国民病ともいわれます。厚生労働省の平成22年国民生活基礎調査で身体の悩みとして腰痛が男性はトップ、女性は2番目になっています。11月15日(木)に総合南東北病院で開かれた医学健康講座で鹿山悟南東北医療クリニック副院長が「腰痛に関するお話」と題して講演した内容を要約、治療した予防法などをチェックします。
◎健康長寿はまずロコモ予防 食生活改善で骨元気生活=
人の背骨は首から尾骨まで頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個など約30個の椎骨でS字状に形成。骨と骨は関節で繋がり、間にクッション役の椎間板がある。背骨には脊柱管という穴がありその中を神経が通っている。腰椎は上・下半身の繋ぎ目で激しい動きで負荷が大きく、特に骨盤に接する一番下の第5腰椎は荷重で異常が起こりやすい。
腰痛は明らかな背骨の疾患や内臓疾患、関節・筋肉の炎症、ストレスなど腰以外の原因もいっぱい。原因が特定できるものは15%程度で残りの85%は原因がはっきりしない非特異的腰痛だ。その代表が急性腰痛症(ぎっくり腰)。重い荷物を持って腰椎ねんざを起し、少し身体を動かしただけで激痛が走る。レントゲンで異常なしでも痛みはある。薬でも症状を軽減できるが、4日以上寝ると筋肉が弱るので通常の生活を続けた方が早く回復し、慢性化を防げる。
原因が特定できず痛みなどが3ヵ月以上続く慢性腰痛は、朝晩少しの腹筋や拝金の鍛錬、ストレッチ運動継続で改善できる。ビタミン剤や漢方薬、抗うつ薬で効果が出ることもある。腰に負担を掛けない生活、例えば姿勢を正す、台所では台を置いて作業、靴は平らなもの―などの工夫も大切。ただ発熱、夜間痛、安静時痛など質の悪い″痛は医療機関を受診した方が良い。
原因の特定できる腰痛の代表は、それぞれ4〜5%だが脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア。狭窄症は腰部の脊柱管が何らかの原因で狭くなり、中を通る神経が圧迫されて腰痛や痺れを起こす病気で中高年に多い。少し歩くと下肢が痺れ、重くなって歩行困難になるが、休むとまた歩けるようになる間欠歇行(かんけつはこう)の状態。前かがみになると楽なのが特徴だ。圧迫個所により症状も様々。神経の束の馬尾圧迫では排泄障害もある。薬物療法、神経ブロック、手術と症状により治療法も異なる。椎間板ヘルニアは40歳ぐらいまでの比較的若年に多い。大半が片側の臀部から下肢の痛み。くしゃみや咳をしても芦屋腰に響く。背骨をつなぐクッション役の椎間板の一部が飛び出した神経を圧迫するためだ。治療法はまず保存療法で安静。薬物療法で疼痛が激しい場合は神経ブロック、手術は最終手段だ。
もう1つが圧迫骨折。外傷や椎骨が弱くなって椎骨が押しつぶされる骨折で旨と腰の境目に多い。大半が骨粗しょう症に起因。骨粗しょう症になると背骨や手首、大腿骨などがもろくなり、転倒や尻もち程度で骨折しやすい。
骨や関節、筋肉など運動器の働きが衰えると暮らしの自立度が低下し介護が必要になったり、寝たきりの原因になる可能性が高い状態をロコモティブシンドローム(運動器症候群)という。日本整形外科学会は平成19年に「ロコモ予防で健康長寿」を提案した。介護が必要になった原因が21.5%と脳卒中に次いで多いのに認知度が低いからだ。
背骨が曲がると背部痛や腰痛、神経障害、食欲不振、便秘、逆流性食道炎、呼吸機能低下などの弊害も出る。骨粗しょう症の治療は書億時、運動、薬物療法があるが、食事はカルシウムを1日800g、ビタミンD・Kや適切なたんぱく質の積極摂取。牛乳や乳製品、野菜はいい。運動では会談の昇降や壁立て伏せ、四股ふみ・バランス歩行などをコツコツと続けると効果がある。骨密度を増やす薬物もある。予備軍はかなりいるはず。「ロコチェック」をして開眼片足立ちやスクワットなどのトレーニングで、ロコにならない努力をして下さい。
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