広報誌 南東北

第251号

新年のごあいさつ

優れた戦略、能力開発で組織強化

総合南東北病院 理事長・総長 渡邉一夫
◎3月にBNCT建屋着手 6月に新生病院完成◎
新年おめでとうございます。東日本大震災と東電福島第一原発事故の放射能問題で福島県の多くの被災者が避難したまま2回目の正月を迎えました。昨秋、チェルノブイリに行ってきましたが半径30kmは無人の廃墟と化し複雑な思いでした。本県を主体とする我々南東北グループも本院はじめ多くの施設で医師・看護師・介護士・その他医療に携わる人材不足に苦しんでいます。放射能問題による若者の福島県離れです。この人材不足解決のためには総合力。全施設・全スタッフの力が必要です。そして各施設が1番になること。そこで働きたいと思うようになる魅力ある職場づくりです。
日本は相変わらずデフレ経済で不況続き。政治の停滞もあります。昨年暮れの衆議院総選挙で自民党が圧勝したが3年半前の民主党、小泉純一郎の自民党、猪瀬直樹都知事選の圧勝は恐ろしくなるほどです。満州事変を挟み昭和5年2月と7年2月の総選挙に似ているといわれます。犬養毅首相暗殺の5.15事件、2.26事件、そして軍閥が台頭し敗戦への道を突き進みました。安倍晋三総裁の憲法改正や国防軍発現、石原慎太郎前都知事が憲法廃止や尖閣国有化に火を付け中国のデモ行動を呼び起こし、日本国内の中国嫌いのナショナリズム気分を高めて自民党と猪瀬圧勝につながったことも否めないのではと心配しています。
世界では首相、大統領、主席が変わりました。米国のオバマ、露のプーチン、仏のオランド、中国の習近平主席、韓国でパク・クンヘ次期大統領が誕生しました。中東ではアラブの嵐でリビア、チュニジア、エジプト、バーレーンなどが民主化しましたが、シリアは依然戦闘中です。
昨秋、中国で反日デモが多発し日本の貿易は厳しい状態に置かれました。原発停止で電気は火力発電に頼らざるを得ず貿易収支は毎年2000億円近い赤字。このままでは電気代が上がり企業は海外に移転、失業率も高くGDPは韓国にも抜かれかねません。日本は世界一の少子高齢化時代に入り2050年には若者2人が1人の65歳以上の高齢者を養わなければなりません。新生児を今の倍の200万人に増やす方策を国も国民も考えねばなりません。小泉政権時代に毎年2000億円の医療費を削減し病院倒産が相次いだが、民主党政権になり手術料が評価され多くの医療機関が一息つきました。
復活した安倍政権はデフレ脱却、景気浮揚策で公共事業重視といっています。方法は赤字国債をバンバン出し、取れるものからとる。生活保護者にはあまり医療にかかってもらわないなど医療費の削減や薬、介護費、年金、消費税などで約25兆円を捻出して公共事業に充てるようです。
こういう状況で当グループはどうするか。@経営利益10%以上増A来院患者さん増B優秀な医師・看護師・医療スタッフの確保C手術や治療実績アップD患者満足度の向上E安心・安全の確保F全職員が連携を密にし優しく笑顔で患者さんに接する―など。7ヶ条がうまく回れば職員満足度も上がり、より多くの人材が入り繁盛すると思います。
昨年8月、川崎市に開院の新百合ヶ丘総合病院はグループの結集力で順調に推移。医師は間もなく60人、看護師は4月には300人を超え、377床全館稼動の予定で今年早い時期に黒字化すると思う。総合東京病院は昨年から病棟改築工事に入り平成26年4月に43床を追加し293床でオープンする予定です。
郡山の本拠地では今年3つの大事業がある。1つは建設中の新生病院(4階建て・156床)が6月に完成。一般病床と回復期・療養病床となる。2つ目は総工費約100億円をかけたホウ素中性子補足療法(BNCT)の臨床使用の建物・機械建設を3月に着工します。県補助43億円の民間病院では世界初の事業で平成29年には実用化し治療困難な再発がんなどに効果がある画期的な治療です。3つ目は200人を24時間みる(病児含む)保育園や学童保育、幼稚園、障害者学校・工場、特老ホームなど子供とお年寄り・障害者が一緒になった日本最大の施設を作ります。
今後のグループ生き残り策として3つの命題を掲げました。@優れた戦略を立て実行し成果を出す組織力づくりA仕事の経験を通じた人材能力開発体制の確立B組織の結束力構築。医療は経営と技術と組織力そして仁術です。是院の「すべては患者さんのために」が私たちの使命です。
今年のスローガンは昨年と同じ@南東北グループの戦略作成A組織力の強化B人材能力開発―です。不動の精神を持ち使命感に燃え、奉仕の精神を尽くし「坂の上の雲」をめざし昨年以上に頑張っていきます。本年もご支援ご活用よろしくお願いします。
平成25年元旦
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