広報誌 南東北

第253号

BNCT研究センター建設に着工

建屋は来夏に完成、30年度治療開始目指す
民間病院で世界初のホウ素中性子捕捉療法導入を目指す脳神経疾患研究所の「南東北BNCT研究センター(仮称)」安全祈願祭は3月2日(土)、郡山市八山田の南東北がん陽子線治療センター西の現地で行われ、工事の早期完成と安全を祈りました。祈願祭には総合南東北病院や工事関係者ら約70人が出席。神事に続き渡邉一夫同研究所理事長が鍬入れ、野村俊明安藤建設社長がすき入れ、北村清士東邦銀行頭取、寺西寧総合南東北病院長、熊田幸生住友重機械工業常務執行役員らが玉ぐしを捧げました。4日に着工し来年7月完成を目指します。
同センターは鉄筋コンクリート造り地上5階・地下2階建て(延べ床面積約6000u)。地下2階〜地上3階は加速器装置や診察室、3〜5階は付帯施設が入ります。
BNCTは、がん細胞にだけ取り込まれるホウ素剤を投与、加速器で飛ばした陽子を金属に当て発生した弱い中性子をがん患部に照射。ホウ素との反応で出たアルファー線で周辺の正常細胞を傷つけずピンポイントでがん細胞だけを壊すという最先端の治療法です。京都大原子炉などの臨床研究で手術や既存の治療法で難しい再発がんや進行がんに有効とされています。捕捉療法専用の加速器「サイクロトロン」は京都大と住友重機械工業が共同開発し昨年10月から治験を始めています。同センター用装置は幅3m、高さと奥行きが各1.5mの小型で25年度には納入される予定です。
脳神経疾患研究所は平成20年に陽子線がん治療センターを開設し大きな成果を挙げていますが、がん撲滅強化を目指し福島県の公募に応じました。総事業費は約70億円で43億円が県国際的先端医療機器開発実証事業補助金です。
建屋が完成した後、サイクロトロンの立ち上げ・性能試験が行われ、翌27年度から頭頸部がん、悪性腫瘍の臨床試験を開始し先進医療として厚生労働省の認可を受け平成30年度からの治療開始を目指します。渡邉理事長は「この治療法に病院が取り組むのは世界で初めて。京都大や筑波大、東京理科大などの応援を得て5年ほどの臨床試験で安全性を確かめ再発がんや悪性腫瘍に効果的な治療法を実証したい」と語っています。

研究センターの完成予想図

クワ入れする渡邉理事長

25年度 医学健康講座日程決まる

トップは渡邉理事長が講演
総合南東北病院が毎月、北棟1階NABEホールで開催している医学健康講座の平成25年度日程が決まりました。市民対象の講座で18年目を迎えた今年も当院の医師陣が最新の治療法や医学・医療情報をご紹介します。
新年度1回目は4月17日(水)午後2時から開催、恒例により南東北グループを率いる渡邉一夫理事長・総長が「ガン医療について」と題して講演します。がんを治癒・軽減する医療技術は年々進化しています。講座では最先端のホウ素中性子捕捉療法などを含めがん医療を分かりやすく解説します。受講は無料。郡山駅午後1時発、病院同3時25分発の送迎バスをご利用下さい。5月以降の日程と演題、講師は4月号に掲載。

著作本1400冊を寄贈

渡邉理事長が母校安積高に

小野寺常務(右)から本を受けとる富田生徒会長
福島、宮城、東京、神奈川など5都県で18病院・診療所、54福祉施設などを展開する南東北グループの渡邉一夫総長・理事長の著作本贈呈式は2月28日(木)午後2時40分から渡邉理事長の母校・安積高校(佐藤馨校長)体育館で行われ、全校生らに1400冊が寄贈されました。
この本は同グループの母体・総合南東北病院が一昨年12月に創立30周年を迎えたのを機に渡邉理事長が「すべては患者さんのために」を院是に理想の医療を追求する病院づくりの足跡などをまとめ「南東北グループの挑戦」と題して現代書林から出版しました。脳神経外科病院として開院して以来ずっと救急医療に重点を置いて取り組んできた経緯や総合病院に拡大するまでの渡邉理事長の奮戦ぶりなどが詳しく描かれています。また平成16年に国内で初めてのPET-CTを整備、同20年には民間で初のがん陽子線治療センターを開設、昨年夏には川崎市に手術ロボットを備えた新百合ヶ丘総合病院を開院するなど先進医療のリーダー的存在の医療グループとして挑戦し続けていることなども書かれています。
贈呈式では橋渡し役の山口勇同校同窓会長が渡邉理事長(77期卒)からの寄贈の経緯を紹介。渡邉理事長代理の小野寺慶七(一財)脳神経疾患研究所常務理事が、南東北グループが取り組んでいる事業紹介を含めてあいさつ、全校生代表の富田康暉生徒会長に本を贈りました。受け取った富田会長は「先輩のご好意に感謝します。春休みに読ませて頂き、これからの人生の参考にさせて頂きます」とお礼を述べました。
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