広報誌 南東北

第254号

気になる気管支喘息

環境変化に要注意、続く症状早めの受診

深刻な事態に陥っている中国のPM2.5など大気汚染の有害物質が偏西風に乗ってわが国に越境≠オ「喘息(ぜんそく)」などの健康被害が心配されています。今年は花粉症が広がる季節と重なり、不安が一層増しているようです。早く「喘息」の原因を知り、治療や予防法をしっかり身につけましょう。
◎誘因できるだけ除去を。生活リズム整えストレス一掃も◎
喘息の正式名は「気管支喘息」。気道に慢性的な炎症が起き、呼吸に支障を来す病気で患者は400万人以上といわれます。気道に関連する病気にはアレルギー性鼻炎や蓄膿症、がん、肺炎などがあるが、全体の3割が気管支喘息です。増えた要因は著しい生活環境の変化。工場の排煙や車の排気ガスはじめ食品添加物・住宅建材に使われる塗料などの化学物質、ペットの毛、ハウスダスト、たばこの煙、過労やストレス、インフルエンザなどの感染症も要因です。中国では大気汚染で約6億人が影響を受け、喘息の発作で死者も出ているそうです。
喘息患者の気道は慢性的なアレルギー炎症を起し敏感でたばこの煙やホコリでも反応、発作が起こりやすい。主に子どもが罹る病気と思われがちだが、患者数は20歳以上が多い。特にストレスが多い40〜60歳代で自律神経の乱れやホルモン分泌の働きが悪く発症する例が目立ちます。
症状は激しい咳、粘性が高い痰、胸の息苦しさなどがあり、喘鳴(ぜんめい)といって呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューと音がします。中高年の中には「年のせい」と放っておく人もいますが、症状が進み、悪化することもあることから早めに受診すべきです。発作は@季節の変わり目、温度差が激しい時A夜間や早朝、寝ている時B天気が悪い時―などによく現れるようです。
アレルギーの原因となる抗原物質「アレルゲン」は個人によって様々です。主なのは@ダニやその死骸・フンAハウスダストBスギ・ヨモギ・ヒノキなどの花粉C犬・猫・ウサギなど動物の毛D卵・そば・大豆・小麦粉・エビ・カニ・牛肉などの食べ物―など。アレルゲンが体内に入るとIgE(免疫グロブリン)という抗体ができアトピー型反応が起きます。小児患者の9割、成人患者の6割が有しています。発作は起きるがアレルゲンが特定できず、IgE抗体が検出されないのは非アトピー型。たばこの煙やウイルス感染、過労や過度のストレス、汚染された空気、気温の変化、激しい運動などいくつかの誘因が重複して発作を起こすようです。
薬物治療が中心です。発作のたび気道は傷つくので日常生活では原因物質を遠ざけることが大切です。完全に逃れることは簡単ではありませんが、少なくとも自宅は清潔にしてダニを減らしましょう。部屋はきちんと掃除し空気を入れ替え、掃除機をかけた後は雑巾で水拭きする。なるべくカーペットや絨毯は敷かない。布団など寝具は清潔にして木綿のカバーを掛け、ホコリが出ないようにする。羽毛布団やそばがらの枕なども避けた方が良い。室内の温度を一定にしておくのが理想。乾燥しすぎないように加湿器などを利用するのも方法です。食べ過ぎや肥満は、呼吸器官に負担がかかるので注意。仕事も切り替えて十分に休養を取ることも大切です。咳や痰がでる病気は喘息だけではありません。肺炎や肺結核、気管支がんなど症状が似ている他の病気が原因の場合もあります。自己判断せず医療機関を受診しましょう。
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