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陽子線治療装置の導入へ
 
世界屈指の施設 期待されるがん撲滅の医療
 
 一般財団法人脳神経疾患研究所では最先端のがん治療機器である「陽子線治療装置」を備えた一大がん治療施設を病院の西隣りに新設することに踏み切り、11月4日に記者会見で発表しました。
 
がん治療の最先端
切らず、副作用も最低限に
 財団では昨年4月、がんを発見する最先端の検査機器PET5台(PET-CT2台、PETカメラ3台)をいち早く導入し、既に7000人の診断を行っていますが、ここで早期発見されたがんの早期治療にも、さらなる期待が寄せられていました。そこで、現在世界で最も新しい治療機器である「陽子線によるがん治療装置」を導入し、早期発見したがんの病巣を消滅させる治療法を導入することにしたものです。
 この陽子線治療というのは、エックス線やガンマ線と異なり、標的に合わせて照射でき、病巣で放射線量を最大にできる特性があるため、ほかの正常な組織への影響を最小限に抑えられるメリットがあります。つまり、切らずに治し副作用が最低限になるわけですから、高齢者や身体の弱い方でも安全に治療が受けられます。
 今後は平成18年の早い時期から導入に着手し、2年半から3年後には実際に治療を開始できる見通しです。

兵庫県立粒子線医療センターの
陽子線治療装置
 
陽子線の照射
 陽子線は、ある深さで放射線量がピークになる特性を持っています。このピークの位置をがんの病巣に一致させて照射しますので、正常細胞への損傷を低く抑えながら、がん病巣にだけ集中照射することが出来ます。
 
陽子線治療の研究
 文部科学省では「第3次がん10カ年総合戦略に基づく研究開発」として重粒子線がん治療に取り組んでいます。重粒子線は主に炭素線と陽子線による治療研究です。このうち陽子線治療は国立がんセンター東病院、静岡県立静岡がんセンター、兵庫県立粒子線医療センターなどで研究が行われています。
 陽子線治療システムはアメリカでマサチューセッツ総合病院やロマリンダ大学メディカルセンターなどで、既に稼動しています。今度、一般財団法人脳神経疾患研究所に陽子線治療システムが入れば民間医療施設では日本第1号となり東日本地域における陽子線治療での医学的貢献が期待されます。
 
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