PET健診最前線レポートF
男性でがん死亡率第1位。女性でも胃がんについで2位。
肺がんも「早期発見」がやはりキーワード
肺がんを知る[Part2] その診断と治療について
 「肺がん」は日本人に多いがんのひとつ。その原因の70%はたばことも言われています。罹患(りかん)率、死亡率ともに40歳代後半から増加し始め、高齢ほど高くなります。予防のためにまず禁煙というのは言うまでもありませんが、定期的な検診を積極的に活用し、早期発見、早期治療を心がけましょう。
肺がんとは
 肺がんは気管、気管支、肺胞の細胞が正常の機能を失い、無秩序に増えることにより発生します。なぜ細胞ががん化するか、原因はまだ十分にはわかっていないようです。がんは周囲の組織や器官を破壊して増殖しながら他の臓器に拡がります。他の臓器にがんが拡がるのが転移です。
 肺がんはがん細胞の種類によって非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)と小細胞肺がんに分けられます。また、がんのできる部位によって中心型(肺の入口付近)と末梢型(肺の奥の方)に分けられます。
 肺がんの一般的な症状は、風邪などの症状と似ていますが、末梢型肺がんの場合、早期では症状が現われにくいようです。なかなか治りにくい咳や血痰、胸痛、喘鳴、息切れ、嗄声(させい)、発熱などが気になるようであれば、病院でチェックしてもらいましょう。喫煙歴のある40歳以上の人は、特に要注意です。
肺がん検査とPET
 肺がんの検査では、がんのタイプ(組織型)や拡がり、転移の有無を見つけることが重要です。
 具体的には胸部]線写真やCT、脳への転移を調べるMRIといった画像診断、がんがつくり出す物質の有無を診断に利用する腫瘍マーカー、細胞や組織を顕微鏡で見てがんかどうかを診断する喀痰細胞診、生検などの検査があります。
 特に近年注目されているのがPET検査(陽電子放射断層撮影装置、ペット)です。これは最新の画像検査機器で、がん細胞の糖代謝を介してがん細胞の活動を画像化するものです。これまで発見することが困難だった小さながんを見つけだすのに有効です。症状が現われる前に早期にがんを発見して治療すれば、がん死亡率は劇的に減少するはず。そのため、検査メニューの中心にPETを盛り込んだ健診型の「PETがんドック」が人気を集めています。
 PET検査は一度のスクリーニングで全身を撮影でき、痛みも不快感もなく20分ほどで終了します。「PETがんドック」も1日ですべての検査が終了しますから、忙しい方にもおすすめです。
 PETはその特長から、がんの転移を調べたり、がん治療後の経過観察にも用いられています。
【肺がんのPET-CT画像診断の一例】
赤く見える部分が肺がんの腫瘍部分
国内民間初!建設中のがん陽子線治療センターが来年10月、いよいよオープンします。
肺がんの治療について
 肺がんは早期に発見できれば根治を目的とした外科手術が可能です。しかも切除する部分をできるだけ小さくすることができますから、肺の機能を保てます。
 治療法としては、体に負担のかからない先端医療の研究も大変進んでいます。その中でも究極のものが陽子線治療です。
 これは放射線治療の一種で、陽子(水素原子から電子を除いたもの)を用いた『粒子線治療』のひとつです。がん病巣に的を絞って治療できるため、正常組織への損傷が少なく、副作用を抑えられるとともに、大きな治療効果が期待されています。
 外科手術や従来の放射線では治療が難しかったがんにも効果があり、切らずに苦痛もなく、外来で通院しながら治療できるという画期的な方法です。
 一般的に言えば、肺がんのタイプや進行の度合い(ステージ)に応じてこうした治療法や抗がん剤、放射線治療などを組み合わせて治療が行われることになります。
 肺がんで命を落とさないためには、症状が現われる前から自分の体を見張っておくことがとても大切です。理想を言えば年1回、定期的に検診を受けてがんが小さいうちに早期発見し、早い段階で治療に着手したいものです。そうすれば、治療法についても、様々な方法から最も適したものを納得がいくように検討し、選択できるようになります。
陽子線治療装置の主加速器シンクロトロン(写真・左)と回転ガントリー照射室(写真・右)
南東北がん陽子線治療センターは東日本における粒子線治療の中心的役割が期待される施設。
南東北PET・ガンマナイフ高度診断治療部門(南東北医療クリニック地下1階)の最先端画像診断機器
との連携によるがんの早期発見・治療への取り組みは、国内はもとより、世界から注目を集めています。
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