PET健診聞き語り体験記
乳がんを手術後、PET(ペット)で再発と転移を見張り、腫瘍が小さいうちに最善の治療に取り組んでいます。
Aさん 50代 女性 (会社員 郡山市在住)
 

がん治療を支えるPET検査と病院間の連携

 
初期がんの発見や転移を見張るために最適なPET検査は、治療の効果判定にも明瞭な答えを示してくれます。いたずらに治療を重ね、深刻な副作用に悩まされていた頃とは隔世の感があります。Aさんのお話を伺っていると、患者さんの命を第一に考える医療機関の連携の重要さと、PET検査を主治医に相談してみる“ちょっとした勇気”の大切さが分かります。
肺がんの手術と転移
 乳がんの手術を最初に受けたのは平成4年のことです。郡山市内のある病院でした。それから4年半過ぎて、がんの再発が見つかり、また手術を受けました。その次の年も同じです。鎖骨、胸骨。コバルトの治療を受けました。けれども、あまり再発するので、しばらく東京(築地)の国立がんセンターに通い、抗がん剤の治療を受けることにしました。
 ところが、その段階では病巣がどこにあるのかも分からなかったんです。どこをどう治療すればよいか、具体的な場所が分かりませんから、とにかく少しでも再発を予防するために、一番弱い抗がん剤を使おうということになり、定期的に通いました。仕方なく、闇雲にお薬を飲んでいたわけですね。
 そうこうしているうちに、がんセンターの先生が別の病院に移られて、そのうちに私も通わなくなってしまい、元の病院の主治医の先生に診てもらっていたわけです。
 ちょうど総合南東北病院にPET(ペット)が導入される頃で、胸骨の治療が上手くいっているかを診る目的もあって、PETがんドックを申し込んだんです。胸骨のときは骨シンチ検査をしても黒く出てしまうので、分からないんですね。転移への警戒もありました。
 PET検診で全身をチェックしていただいた結果、鎖骨の下と5番目の肋骨と左側の腋窩(えきか)にもちょっと病巣があるということが分かりました。そのデータと所見をかかりつけの病院に回してもらって、それからまた主治医のもとで治療を受けました。それ以降は半年に1回、合計8回PETを受けています。
PET検査への信頼と病院間の連携
 PETを使うと、がんが小さいうちに、特定の部位の病巣として具体的に見えるようになります。ピンポイントで初期の病巣が発見できるから、治療方法も具体的な対処が可能になるんですね。それにしても、PET-CTだと、自分の体がそのまま立体画像として見えるのには驚きました。体の線がそのまま出てくる。当たり前ですけど。笑っちゃいましたね。
 かかりつけの病院も総合南東北病院との連携を進めてくれていて、主治医の先生もPETを高く評価し、積極的に利用してくれています。「これほど明確に分かるものはない」、ということで、今までは骨シンチとか、必ず年に1回はやっていたんですが、それもやらなくなって、PETです。主治医は「これで分からないなら他の検査でも分からない」とおっしゃるほどです。
 PET検査でがんの可能性があると、さらにCTで検査したり、部分的に調べていきます。がんが見つかれば、小さいうちにその都度治療していただきます。具体的に分かるから、最適な治療方法を探って、主治医だけでなく、各部位の専門のドクターとも相談していただいています。治療の効果が目に見える形で判定できるお陰でムダな治療、薬による副作用も避けられるようになっています。がんをめぐる医療環境が大変変わってきていますね。
 最近、PET検査を受けて、やはりいくつか病巣が見つかりました。気管支と肺の間のところと、前回まで消えていたはずの左の腋窩にも。頭頂部の左側にも少し疑われる部分が見えるようです。念のためMRI検査を受けることになるかもしれません。あとは主治医の先生にお任せして、どういう治療がいいかを考えていただきます。また、場合によっては総合南東北病院のドクターにもご相談するようになるかもしれません。脳腫瘍を切らずに治療できる“ガンマナイフ”という新しい機械も導入されているそうですし、心強いですね。
 主治医のドクターには、最初の手術のときから診てもらっていて、大変信頼しています。科学が進歩し、PETが開発されたことは本当に幸いです。また、病院同士が開放的に連携しあってくれるようになったことも、医療を受ける側の人間として有難いことです。
【乳がんのPET画像の一例】
掲載画像は本文で紹介している方のものではありません。
また、PET画像は患者様のご了解を頂いて掲載致しており
ます。
トラブルを未然に防ぐメンテナンスの大切さ
 それにしても、もしもPETがなかったら、知らずに病巣が大きくなって、自覚症状が現われてからでは手遅れになっているかもしれません。半年に1回PETを受けることで、体を見張り、がんがあればその都度治療するというのは、やはりそれ以上悪くならないで済んでいるわけですから、助かりますね。
 検査のスピードが早いのにも驚きました。朝、店に来て、それから店を抜け出して検査に行ったり、帰ってきてから仕事をしたり。半日くらいの所要時間ですから。来年10月に始まる陽子線治療にも大変期待しています。
 PETと出会ってからは本当に安心ですね。元気なときと同じように暮らしています。病気のことは普段の生活のなかでは、自分でも驚くほど忘れているんですね。検査の度に結果について一抹の不安はありますけど、でも、それはそれでしょうがないことだから。分かれば分かったで治療していけばいい。そう思っています。
 
◎ガンマナイフ
脳腫瘍や脳血管障害を放射線によって治療する機器です。ガンマ線が病巣に集中してあたり、周囲の正常な組織にはほとんど影響がなく副作用が極めて少ない治療法です。また、開頭手術は一切行いませんので、痛みを感じずに治療を受けることができます。
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