南東北がん陽子線治療センター資料
http://www.southerntohoku-proton.com/
 
陽子線治療の基礎知識
 
 
■陽子線治療の特長
がん病巣だけをねらいうちするので…
●正常組織への損傷が少なくなります。
●放射線の影響を受けやすい器官の近くにあるがん細胞にも照射できます。
●患者様の負担が減ります。高齢者にも優しい治療法です。
●治療後の社会復帰に支障の少ない治療法です。
 
■陽子線治療とは?
 がん治療に利用される放射線は、大きく光子線粒子線の2つに分けられます。光子線とは、光の波であり、X線・ガンマ線など従来の放射線治療に利用されます。粒子線は、その名のとおり、水素の原子核・炭素の原子核等の粒子を利用した放射線で、そのうち特に陽子線と重イオン線を用いた治療を「粒子線治療」と呼んでいます。南東北がん陽子線治療センターは、その中で陽子線を用いた「陽子線治療」を導入します。  陽子は水素原子から電子をはぎとった、正の電荷をもった粒子(イオン)で、これを加速器を使って高エネルギーまで加速すると、深部への到達度の大きい電離放射線となります。これが陽子線です。
  
■ 陽子線(粒子線)で治療できるがん
 すべてのがんが陽子線(粒子線)で治療できるわけではありません。先行する治療施設での経験により、からだの中でがんができた臓器により、陽子線には得意・不得意があることがわかっています。  
 現在、陽子線治療に向いていると考えられるがんは、頭頸部(鼻腔や副鼻腔、中咽頭、唾液腺、頭蓋底など、喉頭がんを除く)、肺、肝臓、前立腺、膀胱、直腸がん術後局所再発などの原発性がんに加え、単発性の転移性腫瘍です。 (「陽子線治療を知るために」記事内『南東北がん陽子線治療センターで治療出来るがん』参照)  
 国内のほかの陽子線(粒子線)治療施設ではこれらの臓器の他に、子宮や食道、膵臓、脳など他の部位のがんに対しても試験的な陽子線(粒子線)治療が行われており、有効性が評価されつつあります。  
 実際に治療を受けるためには、がんができた部位の他に、がんの大きさ、進行期、全身の状態などで制限されます。
  
従来の放射線治療では困難な疾患にも、 陽子線 (粒子線) 治療は、優れた効果を発揮します。

写真
一般財団法人脳神経疾患研究所 附属 南東北がん陽子線治療センター
外観
 
■ 陽子線(粒子線)で治療できないがん
 陽子線(粒子線)治療ができない代表的ながんに、胃や大腸など消化管のがんがあります。胃腸の粘膜は放射線による潰瘍ができやすく、一般に放射線治療の対象となりません。 また、胆嚢がんや胆管がんも消化管が近接していますので陽子線治療が困難です。検査や診察でがんの場所がわからない場合や、手術でがんを完全に取り除いた後の場合にも、陽子線治療の適応となりません。  
 そのほか、技術的に陽子線治療が難しいがんとしては、悪性リンパ腫や複数のリンパ節転移のある進行期肺がんなどがあります。これらは比較的広い範囲に照射することが必要ですので、X線による放射線治療の適応となります。
 
■ がんの大きさの制限
 陽子線の治療効果は照射した範囲内に限られます。肝がんでは10cmを超える場合には技術的にも治療が難しくなります。  
 がんがこの大きさ以下で、しかも陽子線治療を行う範囲以外にがんの広がりが無い場合に、十分な治療効果が期待できます。
 
■ 進行期の制限
 がんのもとの病巣(原発巣)から、他の臓器(肺・肝臓・骨・脳など)に複数転移している場合は、陽子線では完治させることが困難です。また、複数のリンパ節へ転移が広がっている場合も十分な治療効果は期待できません。  
 ただし、頭頸部がんの場合に手術で転移しているリンパ節をすべて取り除いた場合には原発巣への陽子線治療が可能です。
 
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