健康情報 こんにちわ

 

感染防止 ノロウイルス

昨年の冬は、ノロウイルスを原因とする高齢者世代の死亡が数多く報道きれました。
ノロウイルスへの対策は、これまで以上に重要な課題となっています。

ノロウイルス対策には衛生管理

 ノロウイルスが毎年、非常に大きな流行をみせている現在、ワクチンや特効薬の登場が望まれるところですが、残念なことにそうした薬剤は開発されていません。これには、遺伝子変化が多様であるというノロウイルスの性質が大きく関わっています。ノロウイルスにはたくさんの遺伝子型があるので、特定の薬剤では対処しきれないのです。
 こうしたことからノロウイルスに対しては衛生管理によって、感染及び感染拡大の防止を行なっていく必要があります。
 ノロウイルスはもともと2枚貝に存在するウイルスです。興味深いことにノロウイルスは、2枚貝のなかでは増殖することはなく、人間の体内に入ると増殖するという性質があります。ただし、ノロウイルスは熱に対して弱いという性質があります。二枚貝でも加熱したものであれば、感染の心配はほとんどありません。
 現在のノロウイルスの感染の傾向としては、特定の食材を原因とするのではなく、ノロウイルスに感染した人が調理した食品や扱った調理器具から感染するケースが増えています。

ノロウイルス感染後の症状と対処法

 ノロウイルスに感染した場合、1~2日の潜伏期間を経て、強い吐き気や下痢、腹痛を発症します(※感染しても発症しない人もいます)。同時に、発熱や頭痛、筋肉痛を併発することもあり、重いかぜの症状に似ているという人もいます。
 ノロウイルスが発症したときの基本的な対処法は、まず安静にすること。
 そして、吐き気を抑える薬は使用できますが、下痢を止める薬は使用しないようにしてください。下痢止めの薬は、腸の働きを弱めてウイルスの体外への排出を阻害し、症状を重症化させる恐れがあります。
 このとき、感染・発症者が乳幼児や高齢者だった場合は、命の危険があるほど症状が重症化することがあるので十分な注意が必要です。
 ノロウイルスによる症状は通常2~3日で治まります。しかし、ノロウイルスは症状が治まったあとも1週間~10日程度は、体内から排泄物といっしょに排出されています。この期間は他者への感染源となる可能性があるので、周囲の人も含めて衛生管理を徹底してください。


ノロウイルスの感染・感染拡大の防止

 ノロウイルスは一年中存在していますが、気温が低く、乾燥した環境下のほうがウイルスは長く生存しやすくなります。このため、ノロウイルスによる感染は冬場に流行しやすいと考えられています。
 個人としてはこの時期、とくに疲れているときや体調の悪いときは、生ものの摂取をできるだけ控えたほうがよいでしょう。
 そして、食事の前には必ず手を洗うようにしてください。ただしノロウイルスは、石鹸やハンドソープ、アルコール消毒では死滅しません。ウイルスを洗い流すという意識で手洗いを行なうようにしてください。
 また、ノロウイルスへの感染が疑われる人が家族のなかにいる場合、嘔吐物や糞便に直接触わることは避けましょう。手袋やペーパータオルを使用して慎重に処理してくだい。
 食品産業に携わる人は、ノロウイルスの感染拡大にもっとも神経を使わなければなりません。
 先述したように、現在はノロウイルスの迅速診断キットが健康保険適用になっています。かかりつけの医師や病医院と連携して、ノロウイルスの感染がわかったら食品を絶対に扱わないといった効果的な対処をしていくようにしましょう。


-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2014年12月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載