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せきが止まらないのはアレルギー? 増加する気管支ぜん息

気管支の炎症が慢性的に続いてしまうのが気管支ぜん息ですが、近年、喘息をはじめとするアレルギー疾患は増加傾向にあり、文部科学省の調査によるとぜん息の子供の割合は最近の10年で約2倍に増加、また、さらにそれ以上の増加率で成人、とくに大人の女性に増えているといいます。

増えている成人ぜん息


 「せきが止まらない、ぜん息になっちゃったみたい!」という人が増えています。
 ぜん息は気管支の炎症が慢性的に続くため、わずかな刺激で気管支が激しく収縮して、なかなか止まらないせきや、ヒューヒューゼイゼイという呼吸困難を感じさせるぜん鳴(ぜい鳴とも)が続きます。
 このぜん息、以前は子どもに多い病気(=小児ぜん息)だったのですが、最近では大人、とくに女性に増えています。
 成人ぜんそく患者は子どもより多く、「小児ぜん息がよくならず成人まで持ち越したもの」と考えられがちですが、実は、成人になってから初めて発症するケースが最も多く、30~40歳代で突然発症します。また、小児ぜん息は男児に多いのですが、成人ぜん息は女性に多く見られます。
 成人ぜん息は、もともとアレルギーを起こしやすい体質に、大気汚染やストレスといった、さまざまな要因が重なって起こります。
 成人ぜん息は治りにくく寛解に持ち込むことが難しいといわれていますが、その理由は、原因そのものがわかっていないこと(とくに非アトピー型)と、喫煙や食生活においてなど、ぜん愚を悪くする要因が小児の場合より多いからです。

成人ぜん息を増加させている環境

 気管支の炎症が続くことがぜん息の原因であることはわかっていますが、環境に原因がある場合、ハウスダストがその槍玉に挙げられます。
 ハウスダストは、室内にたまるホコリやちりなどですが、その正体は、衣類や布団の繊維くず、食べ物のかす、髪の毛やフケ、さらにダニの死がいやフンなどです。
 とくに人体に悪影響を及ぼすのが、ダニの死がいやフン。吸い込んでしまったり触れたりすると、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎などを引き起こすとされています。
 ぜん息は気管への刺激があると悪化します。
①気温や湿度など、気候の変化……梅雨どきや台風などの気圧 の変化も影響。
④辛い食べ物……辛味の成分カプサイシンの影響。
④喫煙……気管支の弱い人、気管 支に炎症がある人にとって最悪 の環境です。
 さらに解熱鎮痛剤や湿布薬に含まれるアスピリンによって、ぜん息が起こることもあります。

成人ぜん息の検査と治療

 まずは検査です。症状や生活環境についての問診や、肺機能、アレルギー、気道の炎症状態に関する検査を行ない、それらの結果を総合的に判断して、ぜん息の診断が下されます。検査の結果、「ぜん息」という診断結果が出たら、医師の指示に従って治療します。
問診においては、家族にアレルギーの人がいる場合、また、職場や家庭においてストレスが多いといった環境面を知ることも、診断の手がかりになります。
 ぜん息治療に使われる薬は、その働きから大きく二つに分けるととができます。「発作を予防する薬=長期管理薬」と「発作を止める薬=発作治療」です。
 前者は、アレルギーや炎症を抑えたり、気管支を持続的に広げることで、発作を予防する薬です。後者は、一時的に気管支を広げることで、起きてしまった発作を止める薬です。
 いずれも医師の指示に従って服用し、用法・用量を守りましょう。
 なかなか治らないせきが8週間以上続くようなら専門医を受診しましょう。この時期に早めに適切な治療を受けることで、ぜん息への移行を防ぐことができるからです。


-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年03月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載