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食物アレルギー

食物アレルギーは、この20年ほどの間に急増しているアレルギーです。それと同時に、野菜や芋類といった、意外な食品による食物アレルギーもみられるようになってきました。
こうしたことの背景には、社会的な環境の変化が影響していると考えられますが、その原因は完全にはわかっていません。
思わぬ食品によって、ご自身の体調不良がもたらざれているかもしれない……。
そうした点を踏まえて食物アレルギⅠは、今後、より関心をもっていただきたい病気の一つです。

食物アレルギーとは

 人間の身体は、体内に侵入してきた異物に対して「抗体」を作って対抗します。これを免疫反応といいます。ところが、何らかのアレルギーのある人は、本来であれば身体には無害なたんばく質に対しても免疫反応が働き、結果的に自分の身体に悪影響を与えてしまいます。これがアレルギー反応です。
  こうしたアレルギーのなかで、「食物アレルギー」 は、特定の食物に対してアレルギー反応を起こす病気です。正確には、食物に含まれるたんばく質が異物とみなされ、アレルギーの原因(アレルゲン) となります。
  食物アレルギーには、アレルゲンを摂取するとすぐに症状が現れる「即時型」と、アレルゲンを摂取してから時間を置いたのち現われる「遅延型」に分けられます(遅延型食物アレルギーに関しては、『生活ホットニュース』を参照)。

大人の食物アレルギーは治りにくい

食物アレルギーに関しては、子どもに多くみられるという特徴があり、6歳以下の乳幼児が患者数の80%近くを占めます。
  子どもの食物アレルギーの発症原因の多くは、消化機能がまだ十分に働かず、たんばく質の分解が不十分なためではないかと考えられています。このため、成長して消化機能が発達すると、食物アレルギーが治る人も増えてきます。
  その一方で、乳幼児期以降に食物アレルギーを発症した方は、食物アレルギーが治りにくいという問題もあります。これは、子どもと大人では、食物アレルギーになる原因に違いがあることと、その原因が何かを突きとめるのが難しいということが関係してます。
  また、子どもと大人の食物アレルギーでは、原因となる食物に違いがあります。
  子どもの食物アレルギーでは卵や牛乳が原因となることが多いのに対して、成人では野菜や果物、肉類を原因とした食物アレルギー患者が多くみられます。

食物アレルギーの症状

 食物アレルギーの症状としては、痺みやじんましん、顔や口唇の腫れといった皮膚症状のほか、呼吸器疾患(くしやみ、せき、鼻水)、消化器疾患(腹痛、下痢、嘔吐)がみられます。
  そのほかには、「アナフィラキシー」という命に危険が及ぶ症状を引き起こすことがあります。アナフィラキシーは、食物アレルギーの原因となる食物を食べた直後に、皮膚症状のほかに呼吸困難・血圧低下・意識不明などの重篤な症状を引き起こすことをいいます。
  最近では、慢性的な体調不良に食物アレルギーが関係しているのではないか、という点にもに注目が集まっています。この場合、ご自身では食物アレルギーであるという認識を持ちにくいため、心配な方は、かかりつけ医に相談するようにしましょう。


食物アレルギーの治療


  食物アレルギーの治療では、原因となっている食物を食べない上うにする「食物除去」が広く行たわれています。この治療法で重要なことは、特定の食物を除去することで栄養不足にならないようにすることです。とくに、成長期にある子どもの場合は、この点に細心の注意が必要です。
  近年、食物アレルギーだけで方く、アレルギー全般に対して「経口減感作療法」が行なわれるようになってきました。これは、身体に健康被害が起こらない量のアレルゲンを摂取することで、身体に耐性をつけていく治療法です。ただしこの治療法は、必ず医師の指導の下で行なわなければなりません。自己流で試みることは、非皆な危険をともなう療法です。

-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2015年08月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載