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夏は、食欲減退や睡眠不足に悩まされる、体調管理が難しい季節です。熱中症や夏かぜ、さらには夏バテ!
自宅や職場では冷房でガンガン冷やされ、屋外は炎天下という環境では、自律神経の体温調節機能も混乱して、一日中身体がだるい、疲れやすいといった体調不良を起こしてしまいます。
夏に多い病気といえば、まず、近年ますます増えている「熱中症」! とくに乳幼児や高齢者は体温調節機能の働きが十分でないため、体内に熱がこもりやすく、屋内にいても熱中症になることが少なくありません。
熱中症とは身体のなかの産熱と放熱のバランスが崩れることによって起こります。もし、熱中症になってしまったら、適切な応急処置が必要になります。
そんな熱中症の重症度とそれぞれの応急処置は……?
①軽症
全身の倦怠感やめまい・身体がふらつくなどの症状が見られます。頭痛・嘔吐や、集中力・判断力の低下が見られることもあります。
→軽症の応急処置…家の外でもなかでも、風通しのよい涼しい場所に移動、衣服をゆるめて足を高くして寝かせ、水分補給します。
②中等症
体温を下げるために皮膚血管が拡張して血圧が低下、脳の血流量が減ってしまうことで起こります。脈は速く、弱くなり、めまい・立ちくらみから失神してしまうこともあります。
大量の汗をかいても水分だけしか補給しないと、血液のナトリウム(塩分)濃度が低下し、腕や足、腹部の筋肉がつったり痛みをともなったけいれんが起こります。肉体労働従事者・スポーツ選手が多く発症します。
→中等症の応急処置…0.9%の生理食塩水(1リットルの水に9gの食塩)を補給しましょう。回復しなければ救急車を呼びます。
③重症
熱射病ともいわれ体温が急上昇、中枢機能に異常をきたし、応答が鈍い・意識を失うといった意識障害が見られ、ショック状態に陥ることもあります。
→重症の応急処置…熱射病と思われる場合は至急救急車を呼びます。救急車が到着するまでは、水をかけたり、冷たいペットボトルや濡れタオルをあてて身体を冷やします。首すじや脇の下、大腿部の付け根など、大きい血管の上を冷やすとより効果的です。
熱中症対策では水分を補給し脱水症を予防することが肝心です。しかし、高温下での激しい労働や運動により熱中症になってけいれんを起こした際、水分だけを補給していたのでは、かえって体内の塩分濃度を下げてしまうことになります。
そんなときには血液と同様の塩分、さらに腸管での水分吸収を促進する糖質を含んだ飲料がおすすめです。
一般的に「経口補水液」と呼ばれるものですが、これは手づくりもできますからぜひ試してみてください。
脳卒中などの脳の病気といえば、血圧の上昇しやすい冬場の病気と考えがちですが、実は、脳梗塞に限っては夏にもっとも多くなります。ふだんから血圧が高めの人や、40歳代などの若い人たちにも増えています。
汗の量が増え、体内の水分が失われ血液がネバネバになると、血液の固まりができやすくなり、その固まりが詰まり、脳梗塞の原因になります。
脳梗塞の症状の多くは、右または左の身体の半分の障害として出現し、脳の障害を受けた部分(領域)によって、症状は異なります。
手足の動きにかかわる部分なら手足のしびれや麻痺、歩行困難になり、言語にかかわる部分なら、ろれつが回らない言語障害が起きます。また、ものが二重に見える、食物が飲み込みにくいといった症状が起こることもあります。
脳梗塞(脳卒中)が疑われる場合は、とにかく時間との勝負です。すぐに救急車を呼んで専門医のいる病院へ駆けつけましょう。
夏といえば要注意なのが夏バテ。また、アデノウイルス(プール熱)もこの季節の病気です。さらにかびの繁殖する季節ですから、カビ菌による病気も注意が必要です。
夏を健康で乗り切る秘訣は、夏バテ予防と疲労回復に有効なビタミンB群やミネラルを中心とした、バランスのよい食生活を心がけること。そして質のよい睡眠です。寝るときは部屋の電気は消して、エアコンによる部屋の冷えすぎに注意してください。元気に夏を乗り切りましょう。
-すぐに役立つ暮らしの健康情報-こんにちわ 2016年8月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載