広報誌 南東北

 

脂質異常症と運動

食事制限と運動療法が改善に効果HDLの低下には運動療法が必須


 脂質異常症とは血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態を指します。虚血性心疾患や脳血管障害の重要な危険因子であり、我が国の患者数は成人の約20%以上にのぼるといわれています。なかでもいわゆる善玉コレステロール(HDL―C)の低下は、冠動脈疾患発症に深く関わることが知られており、その原因の多くは、過食や運動不足などの生活習慣によるものです。
 さてこの善玉コレステロールですが、もし10 ml/dl増加させることができれば冠動脈疾患の発症を約30~40%程度抑制できることが知られています。一般に脂質異常症の改善策は食事制限と運動療法です。福岡大学基盤研究機関身体活動研究所が今年6月に発表した研究結果によりますと、脂質異常症を有する男女86名を対象に12週間の運動トレーニングもしくは食事制限のいずれかの介入を行ったところ体重・内臓脂肪・悪玉コレステロール(LDL―C)・中性脂肪は運動療法群と食事制限群のいずれにも改善がみられました。ただ善玉コレステロールや持久力、筋肉量は運動療法群でのみ改善が認められたとのことです。
 また善玉コレステロールの増加は、一週あたりの総運動時間と深い関連があることもわかりました。このことから脂質異常症の原因療法は、食事制限と運動療法のいずれも効果的ですが、善玉コレステロールの低下改善には運動療法が必須であることがわかります。食事制限や運動療法は効果や安全面から専門的知識を必要とします。ドクターに相談の上実施しましょう。

(エルフィット チーフトレーナー 仲田 貴之 郡山市八山田3―8―3 ☎024―991―1045)

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