広報誌 南東北

 

早期発見で進行を遅らせることが可能 治療法・治療薬の進歩が後押し

 高齢化の影響からパーキンソン病はこの20年間で患者数が約2倍に増えています。数字から見て悲観的になりがちですが、診療技術や検査機器の発展により比較的症状が早い段階で患者を的確に見つけられるようになったのです。発症原因が分からない難病とされてきましたが、治療法・治療薬が進歩し早期発見・治療で症状の進行を遅らせることが可能になりました。パーキンソン病を知り、症状が出たら即医師に相談することが大切です。
 パーキンソン病は英国の臨床医の名前から名付けられた現在最も研究されている難病の1つです。患者数は欧米では10万人当り300人、日本では50~100人で約15万人いるといわれ、発病は50歳台後半の初老期が大半、一部が40歳台の若年発病です。
 原因は残念ながら全て解明されたわけではないが、脳内で身体の運動を調節する働きをする神経伝達物質「ドパミン」の分泌量が減り運動の指令がうまく働かなくなっていろんな症状が起こります。
 手足のふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(固縮)、動作緩慢などが主です。初期には「ふるえ」が多いが、進行すると小声やどもったりする発語障害、歩こうとして最初の一歩が踏み出せない、小刻みな歩き方、歩き出すとトットットッと止まれなくなる、前かがみ、突進歩行、腕振りの消失などの歩行障害、倒れそうなとき体のバランスを維持できず転びやすくなる姿勢反射障害―といった症状が特徴です。このほか自律神経バランスなどの乱れで便秘や体温調節不能、立ちくらみ、排尿障害、うつ症状、認知症などが見られます。ただ現れ方は進行具合や個人差で様々です。
 症状の進行度は「ヤール重症度」という分類を使って表します。分類は▽1度=症状が身体の片側の手足▽2度=両方の手足▽3度=自立可能だが症状により活動が制限される▽4度=日常生活で部分的に介護が必要▽5度=全面的な介助必要―です。この分類は医療費の公費負担を申請するときにも必要で、3度以上は特定疾患として治療費の自己負担の一部、または全額公費で助成されます。症状は分類に従って同じような速度で一方向に進むわけではなく、早期に治療を開始すれば進行を遅らせたり、改善することも可能です。パーキンソン病を疑うような症状が見られたら神経内科のいる病院や脳神経外科の受診をお勧めします。
 治療は、ドパミンの量や働きを補いコントロールしていく薬物療法が主です。ドパミンを増量する「L―ドパ」、比較的症状が軽い場合に用いる「ドパミンアゴニスト」。その他「MAO―B阻害薬」「COMT阻害薬」「抗コリン薬」が補助薬として使われます。薬物療法は長期間ですが、処方通りに服用する必要があります。自己判断で薬を増減するとコントロールを乱し病状を悪化する恐れがあります。

運動療法でも症状改善 支障出る前のリハビリが効果的

 パーキンソン病は様々な運動障害が起こるため運動療法が欠かせません。日常生活に支障が出る前からリハビリテーションを行うことが効果的です。病気が進むほど部屋に閉じこもりがちになる人が多くなるようです。一度動きにくくなった筋肉を再び動かすのは困難が伴います。運動に関しては理学療法士、言葉の発生に悩む人は、言葉に関するリハビリを専門に扱う「言語聴覚士」の指導を受けると良いでしょう。症状を改善するには、何事にも積極的で前向きな気持ちで取り組むことが大切です。

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