広報誌 南東北

 

口腔内崩壊錠

つまみやすく溶けやすい 舌下錠には注意を

 高齢化社会の到来とともに年配者に飲みやすい薬が求められています。一般的に唾液の量が少なく、飲み込む力が弱いため普通の大きさの錠剤でも喉にかかって思わぬ副作用につながったり、水で一気に流し込もうとして誤って気管に入れて肺炎の原因となるケースもあります。その一方で小さいと飲みやすいが、つまみにくいというジレンマもあります。指先の感覚が鈍くなっている方などは面倒になって薬を止めてしまう人もおり、これでは本末転倒です。
 この課題クリアのために開発されたのが、「口腔内崩壊錠」「チュアブル錠」。ガスターD錠、ボグリボースOD錠、マクサルトRPDなどが口腔内崩壊錠です。つまみやすい大きさで、口の中で素早く溶け、喉に引っかけず自然に飲み込めます。透析を受けていて水分摂取制限のある方や外出先での服用にも便利です。
 チュアブル錠は咀嚼錠ともよばれ噛んでもしゃぶっても、また水が無くても服用できるように作られています。口腔内崩壊錠ほどすぐには溶けませんが、噛み砕くとすぐに溶けるのが特徴です。チュアブル錠、口腔内崩壊錠とも普通の内服薬と同様水で服用しても問題はありません。
 ただし特殊な使い方の舌下錠やトローチ錠など飲み込まない薬もあります。舌下錠は舌の下に挿入して唾液で溶かして口腔粘膜から吸収させ、急速な効果を期待する時、主に狭心症の治療に使います。トローチ錠は喉の荒れ・痛み・腫れがある場合に使います。口腔内で時間をかけて溶かすことで効果を発揮しますが、噛み砕いたり飲み込むと効果が薄れるため注意が必要です。飲み方の説明をしっかり受けて効果的に利用しましょう。

(参考:日本製薬工業協会 薬剤科 海老沼加小里)

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