広報誌 南東北

 

歯を失うリスク高い「二次う蝕」 最大の原因はメンテナンス不足

〝大人の虫歯〟放置せず早い処置を 歯ぎしり・食いしばり対策も要注意

 虫歯の治療をして歯に詰め物やクラウンを被せて治療した歯が、今どうなっているでしょう。 詰め物の周りが茶色くなってきた、詰め物の縁に舌で触れると引っかかりを感じる、クラウンを被せた歯が浮くような感じがする、クラウンを被せた歯が臭う、 処置をした歯がしみる…。こんな症状の場合は「二次う蝕」を疑う必要があります。
 二次う蝕とは虫歯になって治療した歯が再び虫歯になることをいいます。 一度治療した歯が再度虫歯になると、歯を抜く可能性は更に高まります。なぜ起こるのでしょう。 虫歯を治療した後の詰め物や被せ物と歯、そしてクラウンを被せた歯と隣り合う歯との間、クラウンと歯肉の間、こうした箇所には年月の経過とともに微少な隙間が できるようになります。 この隙間は虫歯の原因となるミュータンス菌が多いプラークが溜まりやすい場所です。 ミュータンス菌は、大きさが数ミクロンのため歯と歯科接着剤の微小な隙間に入り込み、歯そのものを虫歯にしていきます。
 二次う蝕の最大の原因は、治療後のメンテナンス不足です。 治療をした歯には主に金属を素材とした劣化に強い物が用いられます。 しかし治療の行われた歯は健全な歯以上に丁寧な手入れが必要です。 二次う蝕に関しては、自覚症状を感じることが難しく、深刻な状況になって初めて治療を受ける人がほとんどです。 特に最初の虫歯治療で神経を取り除いてある場合は、痛みを感じにくいので発見が遅れる傾向にあります。 虫歯の治療を受けた人は、治療後も定期的に歯科医を受診、治療歯をケアすべきです。
 口の中は常に過酷な条件下にあり、冷たい水から熱い食品まで食べることで口の中の熱変化は非常に大きくなります。 詰め物やクラウンと歯には熱膨張率に違いがあります。 その影響でメンテナンスが行き届いた詰め物やクラウンでも、結果として歯科接着剤のセメントに寿命が訪れることがあります。 詰め物やクラウンは、一定の年数が経てば交換という性質のものではないが、歯科医師に診てもらい、必要に応じ適切な処置を受けることが大切です。
 根面う蝕とは、歯周病や加齢によって歯肉が下がり、剥き出しになった歯の根に虫歯が発生することで二次う蝕においても起こります。 クラウンを被せた歯の根元が黒っぽく見えるのは、歯肉が退縮してクラウンの土台の金属が表面に露出している状態です。 これ自体は虫歯でありませんが、この状態を放置しておくと見栄えが悪いだけでなく、歯の根元から虫歯になる恐れがあります。 歯科医院を受診して早急に処置しましょう。
 二次う蝕は、別名「大人の虫歯」とも呼ばれます。 平成17年の調査では、成人の9割以上が虫歯の経験があることが明らかになりました。 二次う蝕には、成人した全ての人が注意を払う必要があります。
 二次う蝕の原因は、詰め物やクラウンとの間に隙間が生じることを上げました。 そこにはメンテナンス不足や歯科接着剤の経年劣化が関係していますが、その他にも無意識のうちにギシギシと強い力で歯を噛み合わせる「歯ぎしり」「食いしばり」が、 二次う蝕の原因となる詰め物やクラウンの破損に大きな影響を与えることがあります。
 歯ぎしり、食いしばりが頻繁な方は寝ている間だけでなく仕事や勉強中、スマホやパソコン操作中にも無意識に歯ぎしりや食いしばりを行っていることもあります。 その際、自分の体重の5~10倍もの負荷がかかることがあります。 歯科医院では、歯ぎしり・食いしばり対策となるマウスピースの作成のほか歯の噛み合わせを良くする事で、歯ぎしり・食いしばりを無くして行く治療も行われています。


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