広報誌 南東北

 

めまい

動いて治す良性突発性頭位性めまい 安静が必要なメニエル病

頭痛や複視、しびれ伴ったら病院へ 過呼吸性はあわてず運動を
 グルグル目が回る、フワフワふらつく―などの「めまい」。人間は姿勢のバランスを保つ機能に異常を来すとめまいが起こります。 1月20日(金)に総合南東北病院で開かれた医学健康講座で同院の山本悌司神経科学研究所長(神経内科)が「めまいについて」と題し講演した内容を要約し治療法や予防法などを学びます。
 「めまい」は、人によって感じ方は違います。医学的には体が回る、周囲が回転する―など一種の錯覚です。単に回るだけでなく不安感や自律神経症状も伴います。グルグル回って遊んでいた子どもが、急に顔が青ざめ、吐いたりします。 でもフィギュアスケート選手は、高速で回転しても平気です。めまいは平衡感覚の異常、錯覚ですが〝慣れ〟という特徴があります。人間の脳には、それに順応する素晴らしい力が備わっています。
 実は体のバランスは、単なる平衡感覚というより目や耳、首、脊柱、体の軸、足などからの感覚を総合して脳で分析・解析して姿勢を保ち、上手に歩けます。 内耳は聴力の他に自分の立つ位置や重力を捉えるのに重要だし、足の強いしびれや感覚が鈍い時は目をつぶるとふらつきます。情報のどれかが障害されるとバランスは保てなくなります。
 「めまい」は回転性と非回転性に大別されます。周囲あるいは自分が回る、体が引っ張られる、横に押される感覚などの「回転性めまい」を我々は〝本当のめまい〟と呼びます。 単にフラつく、クラクラする、気を失いそうになる―などの「非回転性めまい」は〝めまい感〟と呼び〝本当のめまい〟と分けて考えます。
 回転性めまいは、気分が悪く、嘔吐や冷や汗など自律神経症状を伴うことがあります。脳に情報を伝える内耳の中に聴力の他に迷路といって三半規管と耳石器があり体のバランスを保つうえで最重要な物です。 20年位前まではめまいというと「内耳の病気、メニエルですね」が一般的でした。今でも実際のメニエル病は、めまいの人100人中2、3人位。 メニエル病はある日突然回転性めまいが生じ、吐き気や耳鳴りが1時間から半日ほど継続。〝内耳の緑内障〟ともいわれ、リンパ液が溜まって再発を繰り返すたび聴力が落ち、楽観できない病気です。 原因はよく分かってないが、多くは精神的ストレスが長く続いた後の発症。治療は内耳の水分を吸い取り、圧を下げること。利尿剤で尿の排出を増やし日常生活にストレスを緩和させてやることです。
 めまいの中で一番頻度が高いのは良性突発性頭位性めまい。朝起床時や何気なく頭を動かした時、急に回転性のめまいを発症。5秒~30秒ほどで治まるが、吐き気や恐怖心に駆られる症状を呈します。 女子サッカー日本代表の澤選手が休養した原因もこれでした。回転性めまいで外来を訪れる人の30~40%、実際は6割位かもしれません。三半規管に結石が入り込むと内リンパの回転が妨げられ、頭を動かすたびめまいと感知されます。 石を除かない限り飲み薬などでは治りません。治療法は三半規管結石移動術。米・ポートランドの開業医エプリー医師の考案で、以来治療が進歩しました。 普通は2~3週間で症状が治まるが、めまいを恐れじっと寝ていると中の石が管に癒着して動かなくなり、治りません。三半規管を動かす「めまい体操」がお勧め。 丸太を転がすように横になり頭を90度回してうつ伏せ、90度回してうつ伏せを何回か繰り返すと石がはずれ良くなります。恐れず三半規管をどんどん動かすことです。
 脳によるめまいの多くは、手足や顔のしびれ、二重に見える、言語障害などめまい以外の症状を伴います。ちょっとしたふらつきは脳卒中の心配ありません。ただめまいと口のもつれ、痺れなどがある時はすぐ病院です。 内耳や脳のめまいでなくて非常に多いのが、心因性の過換気症候群。恐怖やストレスを感じた時、交感神経が緊張、血液は筋肉に集まり酸素を必要とし呼吸が荒くなります。 精神的な緊張が運動を伴わないで起こると知らず知らずに過呼吸、思わず深呼吸やため息をついています。若い人も高齢者も多いが、問題ありません。
 高齢者には、原因が重複した多感覚障害性めまいが多い。白内障や老人性難聴、脊柱管狭窄症などの重複。耳栓して歩くと分かりますが、不安定です。糖尿病や栄養が足先まで届かず足がしびれたり、高齢者にはふらつく理由はいっぱい。 転倒や骨折も多いのでふらつき、めまいに注意です。
 復習すると、めまいには回転性と非回転性の2種類あり、回転性めまいには安静が必要なメニエル病と動いて治す良性突発性頭位性めまいがある。めまいに頭痛、二重視、片側のしびれ、麻痺を伴う時は直ぐ病院へ。過呼吸性はあわてず運動を―です。


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