PET健診最前線レポートA
最新画像診断と各種検査を駆使したがん検診と治療の現在を知る
全身に及ぶ検査項目 健診内内容の細部を知る。
 PET健診の対象は全身に及び、肺がん、甲状腺がんをはじめ、婦人科のがんなど、さまざまながんを捉えていきます。
 たった1日の健診で、これだけの検査が行われることに、健診を受けられた皆さんは大きな驚きと安堵感を得られているようです。今回は健診の流れと個々の検査から何が分かるのか、ご紹介したいと思います。

PET検査の対象は全身の臓器
 PETは、特殊な薬剤を静脈注射して体内の糖代謝を画像化します。がんは糖代謝が活発なことから、体内のがんを映し出すことができるわけです。
 その有用性はがんの診断ばかりではなく、がん治療中、治療後の観察にとっても大きな力を発揮します。
 一般財団法人脳神経疾患研究所のPETがんドックでは、これにCT(コンピュータ解析による断層X線写真)やMRI(磁気共鳴画像)などの最先端機器を併せて、より精度の高い検査を行います。
 PET健診の対象は全身に及んでいますから、肺がん、甲状腺がん等の頭頚部のがんのほか、大腸がん、食道がん、膵がんなどの消化器系がん、子宮がん、卵巣がんなどの婦人科系のがんや乳がん、悪性リンパ腫など、ほとんどのがんが標的となります。胃がん、腎がん、前立腺がん、肝細胞がんなど、いわゆるPETが苦手とするがんについては、他の機器や検査を組み合わせ、これを補います。
PETロビー
PET受診者専用個室 PET受付

気になる健診の実際と 健診結果からわかるさまざまなこと
 実際の健診では、まず担当医の問診があります。次に身長・体重・血圧などを計測し、腹部エコー、胃仮想内視鏡検査、MRI、CT検査を行います。MRIは頭部と腹部・骨盤部を撮像します。これは、PETでは描出されない良性疾患や、PETで映りにくい悪性疾患を見つけるのが目的。脳や生殖器などの観察に優れています。CTでは頚部〜骨盤部まで撮影します。肺などの観察にはMRIよりも優れているのが特長です。
 また、肝臓や胆嚢はエコー検査が優れている部分があるため、腹部エコーで肝臓・胆嚢・膵臓・脾気・腎臓などを主に観察します。
 胃仮想内視鏡検査は色調がわからず、胃液の影響で死角があり、実際の内視鏡に比べると劣りますが、その分、肉体的な苦痛が少ないのがメリット。胃の粗大病変の有無を観察します。
 その後、血液検査を行います。最近よく耳にする腫瘍マーカーもここでチェック。
 この腫瘍マーカーとは、がんに反応して体内で増える物質で、血液中の量を測定し、がんの有無を推定する指標と言えるものです。
 そしていよいよFDGの静脈注射。1時間ほど安静にしてからPET検査を受けることになります。検査は横になっているだけ。全身の画像撮影を行います。
 検査が終了すると、一部の検査をもとに、担当医から仮診断の説明を受けることができます。正式な診断結果は後日郵送されますが、がんの心配はなさそうです、という言葉から得られる安心の価値ははかりしれません。もしもがんが見つかったとしても、早期発見できれば、治療の選択肢も多くなり、効果も高くというのは納得できるところです。
 検査結果が届いたら、隅々まで目を通して見て下さい。「気になる言葉の豆知識」でご紹介したような項目ごとの検査結果が記されているはずです。それぞれの項目が自分の体のいまの状態を示しています。
 血液や尿検査などは、直接がんに結びつかないようにも思えますが、その危険因子となる病気が見つかることもあり重要です。がん以外の病気も見つけてくれるというのは、ドック型健診のメリットでもあります。
 PET健診は1日で充実した検査が受けられますから、忙しいビジネスマンにとっては嬉しい健診です。子宮がんや乳がんが気になる女性にとっても、苦痛や不快感のないPETは抵抗感なく受けられるありがたい検査と言えそうです。


がん撲滅の医療を目指して
『南東北がん陽子線治療センター』が平成20年10月に完成予定です。

 国内の民間医療機関としては初めての陽子線治療施設として、『南東北がん陽子線治療センター』が平成20年10月にオープンします。
 陽子線は切らずに、苦痛なく、外来で治せる21世紀のがん治療。当財団は東日本地域における粒子線医療の中心的役割を担うことになります。
 南東北PET・ガンマナイフ高度診断治療部門(南東北医療クリニック地下1階)の最先端機器との連携によって目指す「がん撲滅」の医療は、日本国内はもとより、世界からも大きな期待が寄せられています。

(財)脳神経疾患研究所 附属 総合南東北病院と同関連クリニック・福祉施設の一部(郡山市)
 
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