損傷を受けた組織を修復して老化の予防をめざす!

間葉系幹細胞は、自分のコピーを作る能力(自己複製能)と、骨、軟骨、肝、神経、心筋などのさまざまな細胞に変化する能力(分化能)を持っています。さらに、間葉系幹細胞は、傷ついた組織を修復するサイトカインやマイクロRNAを含むエクソソームなどを分泌しています。これらの働きで、傷つき機能低下した細胞を元気な新しい細胞にして、組織を再生します。

 

間葉系幹細胞治療は、この組織再生の働きで、これまで有効な治療法がなかったさまざまな病気に対して、治療効果が期待されています。

 

間葉系幹細胞の治療への応用

東京クリニックでは、現在、脂肪組織由来の間葉系幹細胞を用いて肝障害の治療や変形性膝関節症などの関節傷害の治療をおこなっています。

 

間葉系幹細胞による肝障害の治療

脂肪肝、肝炎、肝硬変などで炎症が続くと、肝がん発生の原因となります。東京クリニックではそれらの肝障害に対して間葉系幹細胞を用いて治療をおこなっています。間葉系幹細胞は、細胞自身が肝細胞に変化する能力を持っています。また、間葉系幹細胞が作る活性物質は、肝臓の炎症を抑え、線維化を改善し、肝細胞を増殖させます。その結果、肝障害を改善し、肝がんの発生リスクが低下することが期待されます。

 

間葉系幹細胞による変形性膝関節症などの関節傷害の治療

変形性膝関節症をはじめとする関節傷害では、関節の軟骨がすり減ったり傷ついたりして、慢性の炎症が生じて関節に強い痛みが現れます。東京クリニックではこの関節傷害に対して間葉系幹細胞を用いて治療をおこなっています。

 

間葉系幹細胞は、細胞自身が軟骨細胞や骨細胞に変化する能力を持ちます。また、間葉系幹細胞が作る活性物質は、関節の炎症を抑え、痛みを軽減し、運動能力を改善することが期待されます。

間葉系幹細胞による治療の流れ

東京クリニックでは、肝障害や関節傷害に対して、間葉系幹細胞を用いて以下のように治療をおこなっています。

 

当院では、患者様ご本人の脂肪組織を腹部の皮下脂肪から採取し、国の認可を受けた細胞加工施設において、脂肪組織から細胞分離と培養をおこない、増殖した間葉系幹細胞を患者様の体に戻します。

 

肝障害では静脈への点滴にて、関節傷害では関節腔に直接注射して、幹細胞を体内に戻します。ご自身の細胞を使うため、アレルギーや拒絶反応はほとんどなく、安全性が高い治療です。

 

患者様の体に戻した間葉系幹細胞は、損傷した部位から生じるシグナルに誘導され、その部位に到達してその組織を修復すると考えられています。

 

間葉系幹細胞治療による今後の可能性

脂肪組織由来の間葉系幹細胞による治療について、前述の肝障害や関節傷害についてはすでに人での研究で効果が報告されています。一方、人での研究での報告はされていませんが、動物実験などで効果が期待されている病気もあります。それらは、脳梗塞、心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎、炎症性腸疾患、急性腎障害、多発性硬化症、更年期障害、慢性皮膚創傷、男性型脱毛症などです。これらの病気についても将来は幹細胞による治療が応用されることが期待されます。

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