心療内科(胃腸障害専門)

診療のご案内

午前
午後

※第2月曜午前:福土 審 先生

診療内容

福土 審

東北大学より応援を受けまして、毎月第1・3・4月曜の午後2時から5時まで、ならびに第2月曜の午前中に診療しております。当院でも第2月曜は福土審名誉教授が自ら診察に当たり、第1・3・4月曜は東北大の他の医師の診察日となります。福土名誉教授は東北大名誉教授で心身医学・行動医学が専門です。ストレス関連疾患の病態生理について国際的な評価を得ています。ご予約は予約センター(TEL:0120-14-5420)へご連絡ください。

心療内科で診る病気

心療内科ではどんな病気を治療しているのでしょうか。「心療」だから心の病気?それとも「内科」だから体の病気?心療内科がどんな病気を治療するのか、よくわからないという方は多いと思います。ここでは心療内科で扱う病気についてお話しします。

心身症

緊張した時やいやなことがあった時などに決まって調子が悪くなる、ということはありませんか。ストレスが原因で体の病気が起こったり、あるいは体の病気がストレスで悪化する、そのような病気をまとめて心身症と呼んでいます。
 日本心身医学会は心身症を次のように定義しました。

心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。

心身医学の新しい診療指針(心身医学第31巻574頁)

まず言っているのは、心身症は体の病気であり、病気の始まりや途中経過に、心の問題や社会との関わりが強く関係しているものだということです。

『器質的ないし機能的障害』というのは全く耳慣れない言葉です。体のある部分が壊れたり色や形が変わってしまったりした状態になるのを器質的障害と言います。癌や潰瘍など、世の中で体の病気と考えられるもののかなり多くが、何らかの上での形や色の変化を起こしていますから、内視鏡やX線、CT、MRIなどで異常だとわかります。あるいは採血などの方法で異常だとわかる場合もあります。ある程度の規模の病院であれば持っている機械、検査装置などで確かめられる異常を、器質的異常と呼んでいます。

しかし、見た目には全く変化が起こっていなくても体のある部分の働きが変わってしまった状態になることもあります。みぞおちがとても痛くて胃がおかしいと思い、胃カメラ検査を受けたが何でもないということが時々あります。そんな時には実は、胃が激しく動く、あるいは動きが悪くなることで痛みが起こっているかもしれません(運動の異常)。あるいは、胃の感覚が敏感になっているために、ちょっとした刺激で激しい痛みを感じているのかもしれません(感覚の異常)。このような形の変化とは異なる運動や感覚の変化による病気を機能的障害と呼んでいるのです。 心身症では、器質的な異常だけなく、機能的な異常にも目を向けなければなりません。

最後に、うつ病など心の病気に伴う身体の症状は除くと言っています。うつ病ではしばしば食欲がなくなったり、頭痛などの体の痛みを生じたりしますが、それが単独の場合は心身症には含まれないということなのです。但し、うつ病や不安症と心身症が合併することはありますから注意は必要です。

心身症の定義を満たすような病気としては、頭痛、高血圧、糖尿病、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、気管支喘息、アトピー性皮膚炎など多岐にわたっています。しかしそのすべてを心療内科で治療しているわけではありません。

例えば胃潰瘍の発症や経過にはストレスが深く関わっています。しかし心療内科で特別な治療を行うことはありません。現在胃潰瘍の治療はH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬と呼ばれる、胃酸を抑える薬によるものが主流となっていて、この薬を服用するだけで十分な治療効果が得られます。一般の内科、消化器内科で胃酸を抑える薬を処方すればよくなるので、現在では心療内科で専門的な治療をする必要はほとんどなくなりました。では心療内科の専門的な治療とは何か、それはのちほどお話しします。

消化器心身症

胃腸に症状が出ているのに一般的な検査では異常がなく、さまざまなストレスとの関係が深い、そんな心身症を腸脳相関病と言います。腸脳相関病についてはRome Ⅳという国際的な診断基準が取り決められています(福土審医師はRome Ⅳ委員会のメンパーの1人です)。世界の他の国々でも腸脳相関病が重要と判明したため、Rome委員会という組織が作られたのです。尚、腸脳相関病というのは最近の呼称で、以前は機能性消化管障害と言われていた疾患群です。

代表的な腸脳相関病に過敏性腸症候群があります。極端な下痢または便秘と激しい腹痛が慢性的に繰り返されて、生活に著しい支障を来たす病気です。通常の検査では異常は見つけられませんが、腸の運動や感覚を調べてみると、蠕動運動が激しくなっていたり、感覚が過敏になっていたりするのが確かめられます。

胃の腸脳相関病の代表としては機能性ディスペプシアがあります。「ディスペプシア(dyspepsia)」という言葉は、英和辞典で調べると「消化不良、胃弱、胃病」などいう訳が付けられています。胃の痛み、あるいは食後の胃もたれがあって悩まされているのに、内視鏡検査を受けても結果は異常なしという病気です。

他にも慢性悪心嘔吐症候群、機能性胸やけといった、一般にあまり同じのない名前の病気が、Rome Ⅳには掲載されています。

こうした心身症の治療はどのように行うのでしょうか。

心身症の治療

Rome Ⅳは腸脳相関病の一般的な流れを紹介していますが、それは心身症の全般の治療に広くあてはまるものです。5段階に分かれるその手順は、おおざっぱに言うと次の通りです。

Step1
医師と患者の関係作り
Step2
疾患の理解(教育)
Step3
内科的な薬での対症療法、ストレスの軽減、リラクセーション
Step4
抗うつ薬または心理療法のどちらか
Step5
Step4で使わなかった治療法を加え、抗うつ薬と心理療法を併用

Step3の内科的な薬を使うところまでは、一般の内科と少しも変わりありません。病気が軽症なら、あるいは優れた薬があれば、これだけでも十分病気が治せるでしょう(冒頭に挙げた胃潰瘍は優れた薬があるので、心療内科での特別な治療を必要としませんでした)

ストレスの軽減、リラクセーションが加わると、同時に心を診る心療内科らしさが表れ始めます。さらに抗うつ薬や心理療法が加わると、その立場は一層明らかになりますね。このように、内科での治療と精神面の治療を組み合わせることで有効な治療を行なう、それが心療内科らしい治療だと言えるでしょう。

ストレス関連疾患

心身症の定義では「精神疾患の身体症状」は除外していました。しかし世の中の多くの方は、心療内科が心の病気を診てくれる科だというイメージをお持ちのようです。確かに私たち心療内科医も様々な精神疾患を治療するのですが、精神科と全く同じ病気を同じように診るわけではありません。

精神疾患も種類によっては体の症状を伴うことがあり、しばしば患者さんは体の症状を心配して、精神科ではなく内科の診察を受けます。例えば頭痛を訴えてやってきた患者さんに頭痛薬を処方したがなかなか良くならない、よく話を聞いたら実はうつ病とわかったりします。このような体の症状を伴う精神疾患のいくつかを、心療内科では治療するのです。

体の症状を訴える精神疾患はストレスとのかかわりが深いことも多く、心身症もストレスのかかわりが深い病気です。これらストレスのかかわりが深い病気をまとめて、ストレス関連疾患と呼びます。心療内科はストレス関連疾患を扱う科だと言えるでしょう。

心療内科と精神科

しかしあくまでも精神科とは違うので、ここまでは心療内科が診る、ここから先は精神科にお願いするという境界線は引いています。その最も大きなものが

  • 妄想、幻覚
  • 自傷、他害(自分や誰かを傷つけたり命の危険にさらしたりするような行為)

の2つです。これらの症状があると行動のコントロールが難しく、時には患者さんの意思に反してでも入院させる必要が生じます。そのような措置を講じることができるのは、精神保健指定医という資格を持った精神科医だけです。そこが心療内科と精神科の大きな分かれ目なのです。心療内科での入院治療はあくまでも御本人の同意を得た上で行っています(精神科も同意の上での入院が基本で、御本人の意思に反しての入院には厳しい基準があります)。次に心療内科で診る主な精神疾患を御紹介します。

摂食障害は若い女性に多く、やせたい気持ちの異常な高まりから極端な食事制限や過剰な運動を行ない、体重を減らそうとする病気です。ひたすら食べずに我慢できる人ばかりではなくて、反動から過食に走って、後から吐き出したり下剤などの薬で排出したりすることもあります。結果として非常にやせてしまった場合を神経性やせ症、体重は正常の場合を神経性過食症と呼んでいます。やせてしまうと命の危険もあるため、点滴や栄養剤などを用いた内科的な治療を行なって体重を回復させる必要があります。しかしやせたい気持ちは非常に強いので、体重の増える治療はとても嫌がります。そこで心に配慮した治療が必要になってくるため、心身両面を診る心療内科の出番になります。

うつ病は、気持ちがひどく落ち込んでゆううつ、何も楽しくない、やる気が出ないという心の病気です。10人に1人は一生のうちに最低1回はかかると言われる、非常に患者数の多い病気です。うつ病の診断基準には食欲が低下したり、全身がだるくなったりといった体の症状も含まれています。さらに、頭痛、腹痛などの痛みを訴えたりします。抗うつ薬での治療に加えて頭痛や腹痛に対する内科的な薬を併用すれば、より早く患者さんの苦痛を軽減できます。ただし、重症のうつ病では妄想が出現したり、死にたい気持ちを抑えられず自殺を望んだりする場合があります。このような場合は精神科での治療をお願いします。

他にもパニック症、身体症状症などの体に症状の出る精神疾患を、内科の疾患群と鑑別した上で心療内科では治療しています。

スタッフ紹介