診療内容

災害医療部開設準備室 室長
藁谷 暢
総合南東北病院は、地域災害拠点病院として、地域の命と健康を守る責務を担っています。2011年の東日本大震災で得た教訓を胸に、被災地に寄り添いながら支援できる災害医療体制を整えています。また、当院は原子力災害医療協力機関として、放射線を含めた特殊災害にも対応できるよう、行政・消防・医師会などと連携し、平時から訓練と教育を重ねています。
実際には、災害派遣医療チーム(DMAT)をはじめとして、日本医師会災害医療チーム(JMAT)や原子力災害派遣医療チーム等の隊員育成を行っています。地域で開催される災害医療の研修にも積極的に当院のスタッフを派遣し、次世代の災害医療人材の育成にも力を注いでいます。実災害対応の一例として、新型コロナウイルス感染症流行時には、福島県内でクラスターとなった医療機関や高齢者施設の支援を行いました。そして、令和6年能登半島地震時には、DMAT、JMAT、災害支援ナース、日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)を派遣し、医療救護・搬送・情報連携・被災者支援など多方面にわたり、現地で関係機関と連携した活動を行いました。
当院では災害医療に関わるスタッフが、安全に、そして円滑に活動できる環境づくりも重視しています。DMATの隊員においては、院外での研修や訓練の参加にも積極的に参加するのみならず、院内職員に向けて、定期的な教育と訓練の開催を通じて「備える力」を育み、地域を支え、地域とともに歩む医療に取り組んでまいります。
組織体制
ここでは、災害時に被災地内で活動し、当院でも力を入れている「災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team:DMAT)」に関して紹介します。
DMAT誕生の経緯と活動目的
1995年1月に起きた阪神淡路大震災では、負傷者の大半が適切な医療を受けられず亡くなり、いわゆる「避けられた災害死」(平時の救急医療を実施できれば救命できた症例)が約500名あったと報告されています。この事例を受けて、厚生労働省により2005年にDMATが発足されました。DMATの活動は、この「避けられた災害死」を減らすことを目標として活動を行っています。
DMATのメンバー構成
DMATでは、医師1名・看護師2名・業務調整員1名をチームの基本構成として活動します。業務調整員は、診療放射線技師や理学療法士、薬剤師、医療事務などのコメディカルの職種がなり、チームが安心して活動するための食糧や宿泊先および移動手段の確保等を行います。
被災地でのDMATの活動
DMATは被災地で様々な活動を行います。重傷度や治療緊急度に応じた「傷病者の振り分け」(トリアージ)、重症患者の医療機関への搬送、被災地域内の病院、避難所の支援、救護所での被災者支援などの様々な活動を行います。
最近の取り組み
近年は災害時に多様な災害医療チームが活動するため、その取りまとめを行う本部機能の立ち上げ・運営が課題とされています。そのため、DMATでは「DMATコーディネーションチーム」という本部運営に長けたチームを設けており、当院にもその隊員が複数名在籍しています。

活動実績
災害派遣実績
令和6年能登半島地震では甚大な被害を受けた輪島市や、二次避難先の地域である金沢市周辺で積極的に活動を行いました。
- 災害派遣医療チーム(DMAT)派遣 合計4回
- 日本医師会災害医療チーム(JMAT)派遣 合計4回
- 日本災害医学会 災害医療コーディネーションサポートチーム 合計1回
※その他、災害支援ナースおよび日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)派遣実績あり


当院DMAT隊員の災害医療訓練派遣実績
令和6年度 合計10回・のべ46名(福島県内外の訓練を含む)
令和7年度 合計12回・のべ58名(福島県内外の訓練を含む)


院内災害対応研修会の開催
令和6年5月より毎月1回定期開催しています
院内災害対応訓練
当院は災害時に地域の医療を支える「地域災害拠点病院」として、福島県から地域災害拠点病院として指定された令和4年より年1回のペースで院内職員の災害対応能力の向上のために実施しています。毎年、院内職員が約100名(訓練運営スタッフを含む)、福島県内医療機関のDMATチームや近隣消防等の院外参加者も約50名参加する大規模な訓練を実施しています。


院内CBRNE災害対応研修
CBRNEとは?
化学物質(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)、爆発物(Explosive)の頭文字を取ったもので、これらの物質や兵器によって引き起こされる特殊災害のことです。当院は原子力災害協力機関のため、放射線災害対応を中心に職員を対象とした院内CBRNE災害対応研修を年1回実施しています。


